希望あふれる春。晴れがましい気持ちで迎えるはずだった季節は、地震と津波が多くを奪った。肉親を亡くしても、新たな道へ進んでいく少年がいる。絶対に母さんを甲子園に連れて行く。橋本北斗君(15)の携帯電話の待ち受け画面にはそう書いてある。今月、盛岡市にある野球強豪校の盛岡中央高校に入学するため、故郷の岩手県宮古市を離れる。津波被害で亡くなった母、真弓美さん(45)への思いを胸に刻んだ言葉だ。真弓美さんは北斗君の中学時代、主将の母親として保護者をまとめ、手作りのお菓子を選手に振る舞ったり、応援グッズを作ったりと、いつもそばで応援してくれた。進学に迷ったときも背中を押し、高校で野球をする姿を一番楽しみにしていた。津波のあった3月11日、高台にある自宅で、真っ黒の波が町をのみ込んでいく様子に呆然(ぼうぜん)とした。介護施設で働いていた真弓美さんとは連絡が取れず、卒業式の2日前、遺体で見つかった。入所者を助けるために施設に戻ったため、津波にのみ込まれたという。「信じたくなかった。悔しかった。楽しみにしていた母さんに高校での野球を見せたかった」震災被害やガソリン不足を考慮し、真弓美さんの火葬の日は家族で済まそうと連絡をしていなかったにもかかわらず、100人以上の人が火葬場に訪れた。母の偉大さを改めて実感した。「母さんを失って、母さんは自分の周りの人との縁を作ってくれたと気づいた。人に感謝すること、人を思いやることを教えてくれた」同じように甲子園を目指した兄は県大会決勝で敗れ、惜しくも出場を逃した。だからこそ、母を甲子園に連れて行きたかった。「人のために死んでいった母さんのためにも必ず甲子園に行きます」前を見たその目に迷いはなかった。
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